「全身シンチ(ホールボディ)」も「SPECT」も、実は全く同じガンマカメラを使っている。カメラを「どう動かすか」によって、得られる画像と名前が変わるだけだということを絶対に覚えておこう。
1. ガンマカメラ「3つの撮影スタイル」
- ① プラナー収集(一方向・数方向からの静態撮影)
- 動き:カメラを患者の特定の場所にピタッと止めて、一定時間じっと撮影する。
- 特徴:普通のレントゲン写真と同じ。甲状腺シンチなど、特定の小さな臓器だけを見たい時に使う。
- ② ホールボディ収集(全身撮影)
- 動き:カメラが患者の頭から足先まで、一定の速度でゆっくりとスライド(移動)しながら撮影する。
- 特徴:骨シンチグラフィやガリウムシンチなど、全身のどこにガンが転移しているかを探す時に大活躍する。
- ③ SPECT収集(単一光子放射断層撮影)
- 動き:カメラが患者の体の周りをぐるぐると回転しながら、色々な角度から撮影する。
- 特徴:CTと同じように「輪切り(断層)の画像」や「3D画像」を作ることができる。脳の血流や、心臓の筋肉の状態を立体的に見るための最強モード。
2. SPECTのデータ収集(画像データの全書き出し)
① 収集機構
- 感度:連続回転収集 > ステップ収集
- 軌道:円軌道回転 より 体近接軌道収集 の方が空間分解能が良い。
💡 理屈で覚える補足:
- 連続 vs ステップ:カメラを止めずに回り続ける「連続回転」の方が、止まっている無駄な時間がないため、放射線を効率よく拾えて感度が高くなる。
- 体近接軌道(ボディカンター):前回の「コリメータの法則」を思い出そう!「カメラは患者に近いほど高画質」。だから、ただの円を描くより、患者の体の丸みに合わせてスレスレを沿うように回る(体近接軌道)方が、圧倒的に空間分解能が良くなる。
② 収集角度
- 基本:360° が基本で定量性が高い。
- サンプリング間隔:5〜6° ごとにデータを集める。
- (※例外):心臓SPECTの場合は、心臓が体の左前方に偏っているため、左斜め前を中心とした「180°収集」を行うこともある。
③ ピクセルサイズとマトリクスサイズ
- 法則:ピクセルサイズ(画素の大きさ)は、マトリクスサイズ(分割数)に反比例する。
- 最適値:十分なカウントを収集できる場合、ピクセルサイズはシステム分解能の半値幅(FWHM)の 1/3 〜 1/4 が最適とされる。
【超重要:ピクセルサイズを「小」にした場合の変化】
- 空間分解能:「高」になる(細かく見える)
- SN比:「低下」する(ノイズが増える)
- コントラスト:「低下」する
3. なぜ細かくするとノイズが増えるのか?(ピクセルサイズのジレンマ)
ここが国試で一番狙われる引っ掛けポイントだ。「ピクセル(画素)を小さくすれば、スマホの画面みたいに超高画質になるんじゃないの?」と勘違いしやすい。
【マトリクスとピクセルの関係】
- マトリクスサイズ:画面を何分割するか(例:64×64、128×128)。
- ピクセルサイズ:分割された1個1個のマス目の大きさ。
- つまり、マトリクスを大きくする(分割を増やす)= ピクセルサイズは小さくなる。
【放射線特有の「カウント不足」の恐怖】 スマホの写真は光(フォトン)が無限にあるから細かくしても綺麗だ。しかし、核医学検査では**「患者の体から出る微量な放射線の数(カウント)」には限界がある**。
限られた数の放射線を、細かすぎるマス目(小さなピクセル)に振り分けてしまうと、「1つのマス目に入る放射線の数」がスッカスカになってしまう。 その結果、データにばらつきが生じ、画像がザラザラに荒れてしまう(= SN比の低下、コントラストの低下)。

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