1. ベータマイナス(β-)線「しか」出さない核種
【試験での狙われ方】 ガンマ(γ)線が出ないため、一般的な放射線測定器(GM計数管など)での測定や外部からの検出にクセがあるグループとして。
- 3H(トリチウム)
- エネルギー: 0.02 MeV(エネルギーが低すぎる!)
- 半減期: 12年
- 特徴: 天然RI。エネルギーが低すぎて普通の測定器では測れず、液体シンチレーションカウンタ(LSC)が必要。
- 14C(炭素14)
- エネルギー: 0.15 MeV
- 半減期: 5700年(5.7 × 10^3年)
- 特徴: 天然RI。有機物に取り込まれる性質を利用した考古学の「年代測定」といえばこれ。
- 32P(リン32)
- エネルギー: 1.7 MeV(β-線の中ではかなり強い)
- 半減期: 14日
- 特徴: 核酸(DNAやRNA)のリン酸基を標識するバイオ研究の定番。
- 63Ni(ニッケル63)
- エネルギー: 0.06 MeV
- 半減期: 100年
- 特徴: 工業用のガスクロマトグラフィー(ECD:電子捕獲検出器)の線源として利用。
- 90Sr(ストロンチウム90) → 90Y(イットリウム90)
- 半減期: 90Srは29年、90Yは64時間
- 特徴: 親(90Sr)も子(90Y)も、親子そろってβ-線しか出さない超重要過渡平衡コンビ。
- 用途: 工業用の「厚さ計(たばこ量目計)」に必須。
- 147Pm(プロメチウム147)
- エネルギー: 0.2 MeV
- 半減期: 2.6年
- 用途: これも「厚さ計」の定番核種。
- 99Tc(テクネチウム99)
- エネルギー: 0.3 MeV
- 半減期: 20万年(2 × 10^5年)
- 特徴: 医療用で有名な「99mTc」がIT壊変した後にできる、寿命がめちゃくちゃ長い核種。
2. 特性X線「しか」出さないEC(電子捕獲)核種
【試験での狙われ方】 「EC壊変なのにγ線を出さない(=代わりに特性X線が出る)」という例外を突いてくる問題で鉄板。
- 55Fe(鉄55)
- 半減期: 3年
- 特徴: ガンマ線を出さず、特性X線のみを放出。
- 用途: 工業用の「硫黄分析器」や「蛍光X線分析装置」の線源。
- 68Ge(ゲルマニウム68)
- 半減期: 270日
- 特徴: 自身は特性X線のみ。ただし、子の68Ga(半減期68分)がPET用のβ+放出核種であるため、PET装置の校正用(放射能標準)として超重要。
- 109Cd(カドミウム109)
- 半減期: 462日
- 特徴: ガンマ線を出さず、特性X線のみを放出。
3. PET用 β+ 放出核種(超短寿命四天王)
【試験での狙われ方】 β+ 壊変にともなう消滅放射線のエネルギーはすべて一律**「0.511 MeV」。 試験では「半減期が短い順(分単位)」**の並べ替えや、製造反応が頻出。
- 15O(酸素15)
- 半減期: 2分(一番短い!)
- 製造反応: 14N(d, n)15O
- 13N(窒素13)
- 半減期: 10分
- 製造反応: 16O(p, α)13N
- 11C(炭素11)
- 半減期: 20分
- 製造反応: 14N(p, α)11C
- 18F(フッ素18)
- 半減期: 110分(約2時間。四天王で一番長い!)
- 製造反応: 20Ne(d, α)18F、または 18O(p, n)18F
- 特徴: がん検査の主役「FDG-PET」に使われる最重要核種。
4. サイクロトロンで製造する核種(ポジトロン&核医学)
【試験での狙われ方】 「次のうちサイクロトロン(加速器)で製造されるのはどれか」「原子炉でできるのはどれか」の仕分け問題対策。
ポジトロン核種(PET用)
- 11C、13N、15O、18F、68Ga
- 覚え方(ゴロ): 「クノッフガ(C・N・O・F・Ga)、11から奇数上がり18」
- (11からC=11、N=13、O=15と奇数で上がって、最後がF=18)
核医学用核種(EC壊変グループ)
- 67Ga(ガリウム67)、201Tl(タリウム201)、111In(インジウム111)、123I(ヨウ素123)
- 半減期: 67Gaは3日、201Tlは73時間、123Iは13時間
- 用途: 67Gaや201Tlはシンチグラフィなどのインビボ(生体内)検査、123Iも甲状腺などのインビボ検査用。
- 覚え方(ゴロ): 「がったるいんよう兄さん(ガ・Tl・In・ヨウ素123)」
5. 「中性子線源」になる核種
【試験での狙われ方】 「自発核分裂(SF)を起こす核種」か「アルファ(α)線とベリリウム(Be)のターゲット反応(α, n)で中性子を作る核種」かの区別。
- 252Cf(カリホルニウム252)
- 半減期: 2.6年
- 特徴: 自発核分裂(SF)を起こす唯一無二の存在。これ単体で強力な中性子を出す(中性子水分計)。
- 241Am(アメリシウム241)
- 半減期: 432年
- 特徴: アルファ(α)壊変。ベリリウム(9Be)と非密封で混合し、「Am-Be中性子線源」として水分計や厚さ計、煙感知器、硫黄分析器など多用途。
- 226Ra(ラジウム226)
- 半減期: 1600年
- 特徴: アルファ(α)壊変。「Ra-Be中性子線源」として使われる天然RI。
- 7Be(ベリリウム7)
- 半減期: 53日
- 特徴: EC壊変。中性子線源のほか、天然RIとしての側面も持つ。
6. 「天然の放射性核種(天然RI)」まとめ
【試験での狙われ方】 「人工」と「天然」を混ぜた選択肢から、天然のものをすべて選ばせる問題が頻出。半減期の長さの桁に注目。
- 地球誕生時から残る長寿命(ウラン系列・トリウム系列など)
- 238U(ウラン238): 半減期 45億年(4.5 × 10^9年)。天然ウランの99%を占める。速中性子測定に利用。
- 235U(ウラン235): 半減期 7億年(7 × 10^8年)。
- 232Th(トリウム232): 半減期 141億年(1.4 × 10^10年)。
- 40K(カリウム40): 半減期 12億年(1.2 × 10^9年)。人体の内部被ばくの原因として超有名。ベータマイナス(β-)壊変。
- 壊変の途中で生まれる天然RI
- 226Ra(ラジウム226): 半減期 1600年。ウラン系列。時計の文字盤(蛍光塗料)に使われていた。
- 222Rn(ラドン222): 半減期 4日。ウラン鉱山に存在し、有機溶媒に極めて溶けやすい。
- 220Rn(トロン): 半減期 55秒。トリウム系列の娘核種。
- 210Po(ポロニウム210): 半減期 140日。強力なアルファ(α)線で空気を電離させ、工業用の「静電気除去装置」に使われる。
- 宇宙線と大気の反応で常に作られているもの
- 3H(トリチウム): 半減期 12年(β-線のみ)
- 14C(炭素14): 半減期 5700年(β-線のみ、年代測定)
- 7Be(ベリリウム7): 半減期 53日(EC壊変)
7. 「核分裂生成物(FP)」として得られる核種
【試験での狙われ方】 原子炉のウラン燃料が割れてできる副産物。「原子炉で製造」「長寿命の環境汚染の原因」「医療用ジェネレータの親」がキーワード。
- 90Sr(ストロンチウム90): 半減期 29年(β-線のみ、カルシウムに似て骨に沈着しやすい環境問題の主犯)。
- 137Cs(セシウム137): 半減期 30年(工業用の密度計や厚さ計の定番線源)。
- 131I(ヨウ素131): 半減期 8日(β-とγを両方放出し、甲状腺がんやバセドウ病の「甲状腺治療」に使われる)。
- 99Mo(モリブデン99): 半減期 66時間(医療用 99mTc を生み出すための親核種)。
- 99mTc(テクネチウム99m): 半減期 6時間(IT壊変、0.14 MeVという扱いやすいγ線のみを出すため、核医学検査の主役)。
- 140Ba(バリウム140): 半減期 13日。
8. ヨウ素(I)と炭素(C)の同位体チェック
【試験での狙われ方】 「どれが安定で、どれが放射性(RI)か」の引っ掛け、およびヨウ素の化学的性質のカット。
ヨウ素(I)の同位体
- 127I: 唯一の安定核種。放射線は出さない。
- 123I: 放射性(半減期 13時間、EC壊変、インビボ検査用)。
- 125I: 放射性(半減期 60日、EC壊変、RIA・ARG・骨塩定量・前立腺癌小線源治療)。
- 128I: 放射性(安定な127Iに「中性子照射」をすることで人工的に生成される)。
- 129I: 放射性(半減期 1500万年、超長寿命)。
- 131I: 放射性(半減期 8日、β-壊変、甲状腺治療用)。
- 【重要性質】: ヨウ素単体(I2)は、酸性の状況になると揮発性(気体になって逃げやすい)になる。※試験対策として超重要。
炭素(C)の同位体
- 12C、13C: 安定同位体(放射線は出さない)。
- 11C: 放射性(半減期 20分、β+崩壊、PET用)。
- 14C: 放射性(半減期 5700年、β-崩壊、年代測定用)。

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