マルチスライスCT(MSCT)の登場によって、私たちは1ミリを下回る非常に薄いスライス画像を、体軸方向に何百枚、何千枚と連続して撮影できるようになりました。この細かな断層像のデータを、コンピュータ上で積み重ねた三次元のデータの塊(ボリュームデータ)として扱い、立体的に表現する技術が三次元画像処理です。
国試では、各画像処理手法の「名前(略称)」「データの処理ルール」「臨床的な使い道」がストレートに結びついているかが合否を分けます。元のノートの定義を1つも変えることなく、頭に染み込むように解説を構築していきます!
第1章:国試頻出!三次元画像処理(3次元表示法)の定義と特徴完全整理
3次元画像処理は、大きく分けると「立体的な3Dグラフィックスとして表示する手法」と「任意の断面を切り出す手法」、「特定のデータだけを投影する手法」に分類されます。ノートに書かれた定義通りに、それぞれのメカニズムを解剖します。
1-1. 立体的な3次元表示法(立体表示)
- SR(Surface rendering:SSD)表面表示法 ボリュームデータの中から、見たい組織(例えば骨だけなど)のCT値の閾値を設定し、データを「二値化(表示するか、しないかの2つに分けること)」して物体の表面抽出を行い、そこに仮想の光を当てて陰影(シェーディング)をつけることで立体的に表示する手法です。
- ワイヤーフレーム法:SR法の一種で、物体の輪郭線(網の目のような線)のみを抽出して中身を透かして表示する手法を指します。
- VR(Volume rendering)ボリュームレンダリング法 SR法のようにデータを二値化して切り捨てるのではなく、ボリュームデータ全体のすべてのボクセル(画素)に対して、CT値に応じた「不透明度(オパシティ)」とカラーを割り当てて立体的に表示する、現代の主流の手法です。
- 特徴:データを二値化しないため、「データの精度が落ちない」という最大のメリットがあります。ただし、離散的なデジタルデータを補間してレンダリングする過程で、画像の輪郭がギザギザになるエリアシング誤差を生じるというデメリットがあります。
- 計算公式:\(\text{透明度(透過度)} = \text{不透明度} \times \text{透過光}\)
- VE(Virtual endoscopy)仮想内視鏡 上記のVR(ボリュームレンダリング法)の一投影手段です。カメラの視点(カメラの目)を、大腸の管腔内や気管支、血管の「対象臓器の内部」に置いて、まるで内視鏡のカメラで中を覗き込んでいるかのような3D映像を作成する手法です。大腸がんのスクリーニング検査(CTコロノグラフィ)などで臨床上、大活躍しています。
1-2. 断面を切り出す表示法(多断面再構成)
- MPR(Multi planner reconstruction)多断面再構成法 日常診療で最も使われる基本技術です。撮影した横断像(アキシャル画像)を積み重ねた三次元データから、「任意の断面(冠状断:コロナール、矢状断:サジタル、あるいは斜め斜位の断面)」を自由に再構成して2次元として表示する手法です。
- 特徴:元の画素のデータをそのままスライスしているため、「CT値を完全に保持している」のが最大の特徴です。そのため、表示した後に通常通りウィンドウ機能を使ってコントラストを自由に調節可能です。
- cMPR:MPRの応用で、心臓の冠動脈(冠状動脈)のように細かく蛇行して走行する血管を追従して表示するのに用いられます。
- CPR(Curved multi planner reconstruction)曲面任意多断面再構成法 MPR法の一種であり、直線ではなく、血管などの走行に沿って設定した「任意曲面」から抽出した断面を、1枚の真っ直ぐな平面に引き伸ばして再構成する手法です。
- 臨床的意義:心臓CTにおける冠動脈の全長の抽出や、下肢血管の狭窄度を1画面で端から端まで評価する際に、なくてはならない必須の処理手法です。
1-3. 特定のボクセル値を投影する表示法(投影法)
- MIP(Maximum intensity projection)最大値投影法 指定した任意の視点方向(厚みを持たせたスラブ)に向かって、X線が突き抜ける投影経路の中にあるボクセル値(CT値)のうち、「最大値(最も高いCT値)だけをピックアップして投影面(画面)に表示」する手法です。
- 臨床的意義:ヨード造影剤で白く染まった血管や、カルシウム(骨)などの「高いCT値」を持つ組織だけが浮かび上がってくるため、CT血管造影(CTA:CT angiography)の作成に最も適しています。
- MinIP(Minimum intensity projection)最小値投影法 MIP法とは完全に真逆の手法です。投影経路中におけるボクセル値(CT値)のうち、「最小値(最も低いCT値)だけをピックアップして投影面に表示」します。
- 臨床的意義:体内の中で最もCT値が低いのは「空気」です。そのため、空気の通り道である気管支や、肺野の微小な空気の溜まり(肺気腫)、あるいは胆嚢の中の胆気などを黒く強調して明瞭に描出したいときに用いられます。
- Ray Sum MIPやMinIPのように1つの値だけを選ぶのではなく、「投影線上にあるすべてのCT値の積分値(合計値)を投影面に表示」する手法です。
- 画像の特徴:あらゆる方向から透過させて足し算するため、出来上がる画像はCTでありながら、まるで「単純X線写真(レントゲン写真)にそっくりな画像」が得られるというユニークな特徴を持っています。

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