【単純撮影:骨盤・計測】産科と関節の計測撮影 ― マルチウスとグースマンの攻略

胸腹部シリーズの最後を飾るのは「骨盤領域」です。 骨盤は非常に立体的なリング状の構造をしているため、見たい関節(仙腸関節など)の隙間を抜くには、男女の骨格差を考慮した細かな角度調整が必要です。また、産科領域で行われる「骨盤計測」の特殊な撮影法と、その超実用的な覚え方も伝授します!


第1章:骨盤 正面・側面撮影 ― 基本のポジショニング

1-1. 骨盤 正面撮影:下肢の「内旋」を忘れない

  • 体位:仰臥位。膝関節・足関節は伸展位(真っ直ぐ伸ばす)とし、下肢全体をやや内旋した中間位にします。
  • 撮影範囲:腸骨稜(腰の骨の一番上)から坐骨下縁までをしっかりと投影します。
  • 中心線上前腸骨棘(ASIS)と大転子の中点で、正中線上に垂直入射します。
  • ロジック: 下肢の撮影(股関節)でも登場しましたが、足先をリラックスさせると外側を向いてしまい、大腿骨頸部が短く写ってしまいます。骨盤正面でも両側の股関節が含まれるため、「やや内旋」させることで大腿骨頸部を正確に描き出すのが鉄則です。

1-2. 骨盤 側面撮影:正中矢状面を平行に

  • 体位:側臥位(横向き)。クッション等を用いて、体の中心を通る面(正中矢状面)がカセッテに対し完全に平行になるように調整します。
  • 中心線腸骨稜と大転子の中点に垂直入射します。

第2章:仙腸関節の撮影 ― 男女で違う「角度」の謎

骨盤の後ろ側で背骨(仙骨)と骨盤(腸骨)を繋ぐ「仙腸関節」は、斜めに入り組んだ隙間を持っています。ここを射抜くには特殊な角度が必要です。

2-1. 仙腸関節 正面撮影:なぜ女性の方が角度がキツいのか?

  • 中心線:大転子より3cm程上を狙い、尾頭方向(足側から頭側へ)に向けて斜入させます。
    • 男性:15°
    • 女性:20°
  • ロジック【国試頻出!】: 女性の骨盤は、妊娠・出産に適応するため、男性よりも横幅が広く、お椀のように浅くて傾斜が強い構造(女性型骨盤)をしています。そのため、仙腸関節の隙間も男性より強く傾いています。この解剖学的な傾きの違いを補正するため、女性の方が管球を倒す角度(20°)が大きくなるのです。

2-2. 仙腸関節 軸位(斜位)撮影:片側ずつ隙間を抜く

  • 体位:仰臥位から、検側(見たい方の仙腸関節)を20°挙上した斜位とします。
  • ロジック: 仙腸関節の面は、後ろから前に向かって「ハの字」に開いています。そのため、見たい側のお尻を20°フワッと持ち上げることで、その関節面がエックス線に対して真っ直ぐ(垂直)になり、隙間が綺麗に開いて見えます。

第3章:骨盤計測撮影 ― マルチウスとグースマンの最強の覚え方

妊婦さんの骨盤の広さと、赤ちゃんの頭の大きさを比較し、「安全に経膣分娩ができるか(児頭骨盤不均衡の評価)」を調べるための特殊な撮影です。 エックス線写真上に「目盛り付きのメジャー(金属尺)」を一緒に写し込み、実際の長さを計算します。

3-1. 骨盤計測 マルチウス(Martius)法:骨盤の「入口」を測る

  • 特徴:半坐位(少し上体を起こした姿勢)で撮影し、骨盤の入口(骨盤上口)の広さを測ります。
  • メジャーの置き場所腿(もも)の上 に置く。

3-2. 骨盤計測 グースマン(Guthmann)法:骨盤の「側面」を測る

  • 特徴:立位または側臥位で側面撮影を行い、産道のカーブや出口の広さを測ります。
  • メジャーの置き場所股(また)の間 に置く(殿裂に挟む)。

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