DF装置(DSAを含む血管撮影システム)
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■ 概要
DF(Digital Fluoroscopy)装置は、
血管系をリアルタイムで観察しながら記録・解析を行うためのX線診断装置である。
主に
・心血管
・脳血管
・IVR(インターベンショナルラジオロジー)
で使用される。
DSA(Digital Subtraction Angiography)機能を備える。
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■ 基本構成
血管撮影システムは大きく
① X線発生系
② アーム保持機構
③ 画像取得系
④ 画像処理系
から構成される。
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① X線発生系
高出力・短時間制御が可能な装置を用いる。
・テトロード制御方式
・インバータ式
・パルス透視(被ばく低減目的)
パルス透視では、連続照射を避けることで患者線量を抑える。
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② アーム機構
X線管と検出器を支持する構造。
・Cアーム
・Lアーム
・Uアーム
● バイプレーン装置
2組のX線管と検出器を備え、
1回の造影で2方向の画像を同時取得できる装置。
交互の高速パルス照射により、実質的な同時撮影を行う。
バイプレーンの意義
・1回の造影で多方向情報を取得
→ 造影剤使用量を減らすことができる
・検査時間の短縮
・血行動態の立体的評価
・左室駆出率(EF)の算出が可能
I.I.ブランキングにより、
一方照射時に他方を遮断し散乱線影響を抑制する。
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③ シネ撮影
心機能評価のための高速連続撮影。
・左室造影:30~90 f/s
・冠動脈造影:30~60 f/s
時間分解能向上と被ばくはトレードオフ関係にある。
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■ DSA(デジタルサブトラクション血管造影)
造影前後の画像を差分処理し、
血管のみを強調表示する技術。
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① 時間差分法
マスク像と造影像を時間差で取得し差分。
問題点:
体動による位置ずれ
→ ミスレジストレーション
対策:
リマスキング処理
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② エネルギー差分法
異なるX線エネルギーで撮影した画像間で差分を行う。
骨成分と造影剤の分離に有効。
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■ 補償フィルタ
吸収差の大きい部位ではハレーション防止のため
補償フィルタやボーラスを使用する。
ダイナミックレンジを適正化する目的がある。
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■ 画像処理
● リカーシブルフィルタ
過去画像に減衰係数をかけて加算しノイズを低減する。
S/Nは向上するが、動きに弱い。
■ DSAとフィルム撮影の特性の違い
DSAと増感紙・フィルム系は、画像の強みが異なる。
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● コントラスト分解能
DSAはデジタル画像処理によって背景情報を差分除去できるため、
わずかな濃度差でも強調して表示することができる。
一方、フィルム系は物理的な濃度差に依存するため、
低濃度造影剤では識別が困難になりやすい。
そのため、
DSAはコントラスト分解能に優れる。
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● 空間分解能
フィルム系は銀粒子の微細構造によって
非常に高い空間分解能を有する。
一方、DSAは
・I.I.やFPDの画素サイズ
・デジタル処理
・ノイズ低減処理
などの影響を受けるため、
細かい構造の再現性ではフィルム系に劣る。
そのため、
空間分解能はフィルム系のほうが高い。
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● 造影剤濃度
フィルム系では、
十分な濃度差がなければ血管が描出しにくい。
DSAでは背景を差し引く処理を行うため、
低濃度造影剤でも血管を明瞭に描出できる。
つまり、
DSAは少ない造影剤量で診断可能である。
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■ 本質まとめ
DSAは
「コントラストを強調する技術」
フィルム系は
「細部を精密に記録する技術」
強みが異なる。

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