歯科用X線装置
歯科用X線装置は口腔領域専用の小型装置であり、
一般撮影装置と比べて
・容積が小さい
・重量制限がある
・焦点‐皮膚間距離が短い
という特徴をもつ。
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■ 基本構造上の特徴
● 固定式絞り
照射野はあらかじめ限定されている。
● スペーサーコーン・照射筒
焦点‐皮膚間距離(FSD:焦点‐皮膚距離)を一定に保つために設けられる。
散乱線低減および線量管理の目的がある。
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① デンタルX線装置(口内法)
■ 構造
X線管と高電圧変圧器を一体化した
モノタンク構造が基本。
近年はインバータ式高電圧装置が普及している。
照射筒の直径は 6 cm以下。
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■ 特徴
・局所撮影に特化
・低出力
・小型軽量
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■ 二等分法
歯の長軸とフィルム面のなす角を二等分する仮想平面に
X線を垂直に入射させる方法。
フィルム(またはセンサ)は口腔内に固定する。
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② パノラマX線撮影装置(パントモグラフィ)
全歯牙および顎骨を1枚で撮影する装置。
スリット状X線を用いた断層撮影原理を利用する。
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■ 撮影原理
X線管と検出器(フィルムまたはFPD)を
頭部を中心として回転させながら、
細いスリット状のX線で連続的に撮影する。
顎弓に沿った特定の断層面のみが鮮明に描出される。
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■ 使用検出器
・FPD(蛍光体+CCD)
・CR(15×30 cmサイズ)
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■ 撮影条件(小型インバータ式)
管電圧:約~90 kV
管電流:約~10 mA
撮影時間:約~12 秒
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■ パナグラフィ
体腔用X線管を口腔内に挿入し、
顎の外周にフィルムを設置する方式。
現在はあまり一般的ではない。
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■ オルソバントモグラフィ
現在主流のパノラマ撮影方式。
X線管と検出器を同期回転させながら
スリット状X線で顎弓に沿った断層面を描出する方法。
焦点面(フォーカルトラフ)に位置する構造のみが明瞭に描出される。
全顎撮影・全歯牙撮影に用いられる。
③ セファロX線撮影装置
セファロとは、ギリシャ語の「kephalē(頭)」に由来し、
頭部を規格条件で撮影し、計測評価する撮影法である。
矯正に用いる頭部X線規格撮影装置。
頭部の側面像・正面像を一定条件で撮影し、
顎骨や歯列の位置関係を評価する。
拡大率は約 1.1倍。
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■ 特徴
長期間にわたる経過観察が目的であるため、
撮影条件の再現性が最も重要。
そのため、
・頭部固定装置(セファロスタット)を使用
・焦点‐受像面距離を一定に保つ
・被写体位置を規格化する
設計となっている。
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■ 規格距離
X線管焦点‐セファロスタット中心間距離:150 cm
セファロスタット中心‐フィルム間距離:15 cm
この距離設定により、
ほぼ一定の拡大率(約1.1倍)を維持できる。
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④ 歯科用コーンビームCT(CBCT)
歯や顎骨の評価に特化した
歯科専用の三次元X線撮影装置である。
一般の医科用CTとは異なり、
パノラマ撮影装置の機構を応用した回転型アーム構造をとるものが多い。
X線管と検出器が被検者の周囲を回転し、
円錐状(コーン状)のX線ビームを用いて
一度の回転で体積データを取得する。
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■ 特徴
・歯および顎骨撮影に最適化
・空間分解能が高い
・小さなボクセルサイズ
・被検者体位は座位または立位
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■ 撮影方式
円錐状(コーン状)X線ビームを用い、
1回転でボリュームデータを取得する。
ノンヘリカル方式である
(一般CTのような連続寝台移動は行わない)。
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■ 検出器
カセッテ部にはFPDを使用。
間接変換方式が多く、
I.I.+CCD方式から
FPD方式へ移行している。
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■ FOV(撮影視野)
可変式。
局所(数cm)から
顎全体まで選択可能。
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■ 問題点
円錐ビームのため、
・散乱線の影響を受けやすい
・幾何学的歪みが生じやすい

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