本ページでは、国家試験の頻出分野であるアレルギー分類と、放射線治療や核医学検査にも関連の深い自己免疫疾患について、その機序と臨床的意義を詳述する。
【臨床病理学】免疫・自己免疫疾患:アレルギー分類と膠原病の徹底攻略
第1章:アレルギー反応の分類(クームス分類)
免疫反応が特定の抗原に対して過剰に働き、組織障害を引き起こす状態をアレルギーと呼ぶ。関与する抗体や細胞の種類により、Ⅰ型からⅤ型に分類される。
1-1. Ⅰ型アレルギー(即時型アレルギー)
【基礎解説】
・関与因子:IgE抗体、マスト細胞(肥満細胞)、ヒスタミン
・反応時間:抗原侵入後、数分以内に発症
・代表疾患:気管支喘息、アレルギー性鼻炎(花粉症)、食物アレルギー、アナフィラキシー
・緊急処置:アドレナリン(エピネフリン)の筋肉内注射、気道確保、酸素投与、生理食塩水の輸液
【補足・国試の要点】
放射線科領域において、造影剤による急性副作用(アナフィラキシー様反応)はこの機序に極めて類似する。
全身の血管拡張による急激な血圧低下に対し、血管収縮作用と気管支拡張作用を併せ持つアドレナリンが第一選択薬となる。
国家試験では、アドレナリンの投与経路が「筋肉内」である点が頻出である。
1-2. Ⅱ型〜Ⅴ型アレルギー
【基礎解説】
・Ⅱ型(細胞溶解型):IgG、IgMが自己の細胞膜成分と結合し、補体や貪食細胞がその細胞を破壊する。代表例は自己免疫性溶血性貧血である。
・Ⅲ型(免疫複合体型):血液中の抗原と抗体が結合した「免疫複合体」が組織に沈着し、炎症を誘発する。全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、糸球体腎炎が該当する。
・Ⅳ型(遅延型):抗体ではなく「T細胞(ヘルパーT細胞)」が主役となる細胞性免疫の反応である。抗原接触後24〜48時間で最大となる。ツベルクリン反応や接触皮膚炎が代表である。
・Ⅴ型(刺激型):自己抗体が細胞表面の受容体を刺激し続け、機能を亢進させる。バセドウ病がこれに該当する。
【補足・国試の要点】
Ⅳ型アレルギーのみが「液性免疫(抗体)」ではなく「細胞性免疫(T細胞)」による反応である点は、試験での最頻出ひっかけポイントである。
また、臓器移植の際の拒絶反応もこの細胞性免疫が主導する。
第2章:自己免疫疾患と膠原病の病態
本来、自己を守るべき免疫システムが自分自身の組織を攻撃し、慢性的な炎症を引き起こす疾患群を指す。
2-1. 膠原病(こうげんびょう)
【基礎解説】
・定義:全身の結合組織(コラーゲン)や血管壁に炎症・変性を来す疾患の総称
・特徴:原因不明の発熱、関節痛、筋肉痛を伴い、比較的若い女性に好発する
・代表疾患:関節リウマチ(膠原病の中で最多)、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、シェーグレン症候群、多発性筋炎
【補足・国試の要点】
膠原病は多臓器疾患であり、放射線検査では間質性肺炎(肺線維症)や心膜炎などの合併症を評価することが多い。
治療の基本は免疫抑制を図るステロイド剤の投与である。
2-2. バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
【基礎解説】
・機序:TSH受容体に対する自己抗体が受容体を刺激し続け、甲状腺ホルモンを過剰分泌させる
・疫学:女性の罹患率が男性の約4倍と高い
・主要症状:甲状腺腫、眼球突出、頻脈(心拍数増加)、手指の震え、発汗、基礎代謝亢進による食欲増進と体重減少
・治療:抗甲状腺剤の投与、手術(亜全摘)、放射性ヨウ素(131I)の内服療法
【補足・国試の要点】
放射線技師が関わる治療として、放射性ヨウ素(131I)を用いた内用療法(アイソトープ治療)がある。
甲状腺組織に特異的に集積する性質を利用して、ホルモン分泌細胞を放射線(ベータ線)で直接破壊する。
核医学分野において、検査と治療の両面で問われる重要疾患である。
2-3. その他の代表的な自己免疫疾患
【基礎解説】
・橋本病(慢性甲状腺炎):甲状腺に対する自己抗体が作られ、甲状腺組織が破壊される疾患。バセドウ病とは逆に**「甲状腺機能低下症」**を来す。
・重症筋無力症:神経筋接合部の受容体に対する自己抗体が作られ、筋肉への刺激伝達が阻害されることで、全身の筋力低下や易疲労性を生じる。
【補足・国試の要点】
自己免疫疾患の基本として、亢進するバセドウ病(Ⅴ型アレルギー)と、低下する橋本病の対比が重要である。
また、重症筋無力症は胸腺の異常(胸腺腫など)を合併することが多く、放射線技師は胸部CTやMRIにおいて前縦隔の腫瘍性病変を精査する視点が求められる。

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