X線源装置 許容負荷 照射野限定器 X線用高圧ケーブル

短時間・長時間許容負荷

① 許容負荷とは

許容負荷とは、X線管が安全に耐えられる入力の限界である。
熱による損傷を防ぐための制限値である。

② 短時間許容負荷

定義

短時間許容負荷とは、
一般撮影のように大管電流が短時間流れる場合の許容入力である。

制限因子:

実焦点面の瞬間的温度上昇

本質

短時間では、
発生した熱が逃げる前に焦点へ集中する。

したがって、

「どれだけ熱を広い範囲に分散できるか」

が限界を決める。

短時間許容負荷を増大させる条件

1.実焦点面積を大きくする

固定陽極:面積に比例
回転陽極:長さに比例し、幅の1/2乗に比例

電子衝突面積が大きい
→ 熱が分散
→ 局所温度上昇が抑えられる

2.ターゲット角度を小さくする

(実効焦点サイズが同じ場合)

ターゲット角を小さくすると、

実焦点面積が増大
→ 熱分散面積増加
→ 許容負荷増大

3.管電圧脈動率(リプル百分率)を小さくする

リプル百分率が小さい
= 電圧波形が安定している

電圧が安定
→ 電子流が一定
→ 焦点面温度が均一化

局所過熱を防ぐ。

4.陽極回転速度を大きくする(回転陽極)

回転速度が大きい
→ 同一位置への連続衝突が減少
→ 加熱時間短縮
→ 局所温度上昇抑制

5.焦点軌道直径を大きくする(回転陽極)

軌道直径が大きい
→ 衝突位置が広範囲に分散
→ 各点での衝突時間短縮
→ 熱集中低減

オスターカンプの式(一秒以下)

一秒以下の短時間許容負荷 W は、

W ∝ √(D × N)

で表される。

D:焦点軌道直径
N:陽極回転速度

式の意味

√(D × N)
→ 衝突分散効果(回転と軌道)

つまり、

熱をどれだけ分散できるか
で短時間許容負荷は決まる。

まとめ(短時間)

短時間許容負荷は、

「焦点面の局所温度」を
いかに抑えるかで決まる。

③ 長時間許容負荷

定義

透視のように小管電流が長時間流れる場合の許容入力である。

制限因子:

陽極全体の温度上昇

本質

長時間では、

焦点局所ではなく
陽極全体に熱が蓄積する。

最大熱容量と最大冷却率で決まる。

まとめ(長時間)

短時間:焦点面温度
長時間:陽極全体温度

④ 国家試験頻出ポイント

・短時間=実焦点面温度
・長時間=陽極全体温度
・W ∝ √(D × N)
・回転速度↑ → 許容負荷↑
・軌道直径↑ → 許容負荷↑
・リプル百分率小 → 許容負荷↑

照射野限定器(X線可動絞り)

① 定義

照射野限定器(X線可動絞り)とは、
X線照射野を調整・制限する装置である。

被ばく低減と画質向上を目的とする。

② 基本機能

・X線照射野の制限
・光照射野による位置決め
・焦点外X線の低減
・散乱線の低減

③ 規格および性能基準

① 照射野の平均照度

照射野中心の平均照度は、

SID 1 m(100 cm)において
160 lx 以上が望ましい。

② 固有ろ過表示

可動絞りには、

アルミニウム量の最小公称値を表示する。

固有ろ過と付加ろ過を合わせて
総ろ過 2.5 mmAl 以上とする。

③ 光照射野とX線照射野のずれ

光照射野とX線照射野の境界のずれは、

SIDの 2% 未満であること。

④ 可動絞りの漏れ線量

規定負荷条件において、

1時間あたりの積算値が
100 cm の距離で
空気カーマ 1.0 mGy を超えないこと。

⑤ 最大X線照射野

SID 65 cm のとき、

35 cm × 35 cm を超えない。

⑥ 最小X線照射野

SID 100 cm のとき、

5 cm × 5 cm 以下。

④ 羽根の役割

撮影側

・上羽根
 X線照射野の制限

・下羽根
 散乱線・漏れ線量の低減

・奥羽根
 焦点外X線の低減

管球側

⑤ 付加フィルタ

総ろ過(2.5 mmAl以上)を調整するための
着脱式フィルタである。

材質:

・Al
・Cu

⑥ 外装漏れ電流

外装漏れ電流は
0.1 mA 以下であること。

⑦ 用語整理

● 漏れ線量
放射口を除くX線管装置およびX線管容器を透過する空気カーマ。

⑧ 理解ポイント

照射野限定器は

「照射野の制限」だけでなく

・焦点外X線の低減
・漏れ線量の管理
・光照射野との一致

まで含む安全装置である。

⑨ 国家試験頻出ポイント

・平均照度 100lx以上必要。160 lx以上が望ましい
・境界ずれ 2%未満
・漏れ線量 1.0 mGy/h
・最大 35×35(SID65cm)
・最小 5×5(SID100cm)
・総ろ過 2.5 mmAl以上

X線用高電圧ケーブル

① 定義

X線用高電圧ケーブルとは、
高電圧発生装置で生成された高電圧をX線管へ伝送するケーブルである。

② 基本構造

・内部導体
・絶縁体
・外部シールド

高電圧を安全に伝送するため、
強固な絶縁構造をもつ。

③ 静電容量

X線用高電圧ケーブルの静電容量は、

約 250 pF/m である。

特徴

ケーブルが長いほど
静電容量は増加する。

④ なぜ静電容量が問題になるのか

ケーブルはコンデンサとして振る舞う。

静電容量が大きい
→ 充電・放電に時間がかかる
→ 電圧波形に影響を与える

特にコンデンサ式装置では重要となる。

⑤ 理解ポイント

・長いケーブル → 容量増加
・容量増加 → 電圧応答遅延
・高電圧回路では影響が大きい

⑥ 国家試験頻出ポイント

・静電容量 約250 pF/m
・長いほど容量増加
・コンデンサ的性質

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