

頭蓋骨の全体像と主要な骨
- 脳頭蓋(脳を保護する骨): 前頭骨、頭頂骨(2)、側頭骨(2)、後頭骨、蝶形骨、篩骨。
- 顔面頭蓋(顔を構成する骨): 鼻骨(2)、上顎骨(2)、下顎骨、頬骨(2)など。
- 国試ポイント: 下顎骨は頭蓋で唯一の可動関節(顎関節)を持つ。
重要な縫合(骨のつなぎ目)
- 冠状縫合: 前頭骨と左右の頭頂骨の間。
- 矢状縫合: 左右の頭頂骨の間。
- ラムダ縫合: 左右の頭頂骨と後頭骨の間。
- 鱗状縫合: 側頭骨と頭頂骨の間。
- 乳幼児ではこれらの隙間が「泉門(大泉門・小泉門)」として開いており、超音波検査はここから行う。
眼窩(がんか)の解剖学的構成
眼窩は、眼球とその附属器を収める円錐形の凹みであり、脳頭蓋および顔面頭蓋の計7種7個の骨で構成される。第70回診療放射線技師国家試験(70am52)においても、その構成骨を問う問題が出題されている。
構成する7つの骨
- 前頭骨(ぜんとうこつ)
- 頬骨(きょうこつ)
- 上顎骨(じょうがくこつ)
- 涙骨(るいこつ)
- 篩骨(しこつ)
- 蝶形骨(ちょうけいこつ)
- 口蓋骨(こうがいこつ)
壁ごとの分類
- 上壁(天井):前頭骨、蝶形骨(小翼)で構成される。
- 下壁(底):上顎骨、頬骨、口蓋骨(眼窩突起)で構成される。
- 内側壁:上顎骨、涙骨、篩骨(紙様板)、蝶形骨(体)で構成される。4枚の壁の中で最も薄い。
- 外側壁:頬骨、蝶形骨(大翼)で構成される。4枚の壁の中で最も厚く、強固である。
臨床的関連:眼窩吹き抜け骨折(ブローアウト骨折)
眼窩外縁(特に頬骨や前頭骨)は強固であるが、眼窩下壁(上顎骨)と内側壁(篩骨)は非常に薄い。
野球ボールや拳などの鈍的な物体が眼球に正面から衝突すると、眼窩内の圧力が急激に高まる。この圧力は最も薄い壁、主に眼窩下壁(上顎骨)に伝わり、これを骨折させる。これを「眼窩吹き抜け骨折」または「ブローアウト骨折」と呼ぶ。
この骨折により、眼窩下壁の下に位置する上顎洞(じょうがくどう)へ、眼窩内の脂肪や下直筋、時には眼球自体が「落ちる」(脱出する)現象が起こる。これが、頬骨を含む顔面外傷時に「目が上顎洞に落ちる」と説明される病態のメカニズムである。これにより、複視(物が二重に見える)や眼球陥没などの症状が引き起こされる
副鼻腔の解剖学的構造と機能

副鼻腔(ふくびくう)は、鼻腔を取り囲む顔面頭蓋および脳頭蓋の内部に存在する、空気を蓄えた対をなす空洞である。これらの空洞は細い管や開口部を通じて鼻腔と連通しており、頭蓋骨の軽量化、発声時の共鳴、吸気の加湿・加温といった役割を担っている。
4種類の副鼻腔
- 副鼻腔は、それが位置する骨の名称に従い、以下の4つの名称で分類される。
- 上顎洞(じょうがくどう)
- 特徴:頬骨の深部、文字通り上顎(じょうがく)の骨の内部に位置する最大の副鼻腔。
(覚え方):顎の上(あごのうえ)だから前頭洞
- 特徴:頬骨の深部、文字通り上顎(じょうがく)の骨の内部に位置する最大の副鼻腔。
- 前頭洞(ぜんとうどう)
- 特徴:額(ひたい)の骨(前頭骨)の内部に位置する。
通称(覚え方):頭の前(あたまのまえ)
- 特徴:額(ひたい)の骨(前頭骨)の内部に位置する。
- 篩骨洞(しこつどう)
- 場所:鼻根部(びこんぶ:鼻の付け根)の両脇、篩骨内部に位置する。
- 特徴:蜂の巣状の小さな空洞が集まった構造をしており、位置によって前・中・後篩洞に細分される。
- 蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)
- 特徴:鼻腔の最深部、蝶形骨の内部に位置する。脳下垂体の直下に存在し、重要な手術アプローチの目印となる。
臨床的留意点:副鼻腔炎(蓄膿症)
副鼻腔の出口は非常に狭く、風邪やアレルギーによって鼻粘膜が腫脹すると容易に閉塞する。特に最大の上顎洞は、開口部が洞内の高い位置にあるため重力による自然排泄が困難であり、炎症が慢性化しやすい特性を持つ。
上顎洞内に膿が貯留した状態がいわゆる「蓄膿症(慢性副鼻腔炎)」である。放射線画像診断においては、正常であれば黒く描写される副鼻腔内が、炎症に伴う滲出液や粘膜肥厚により白く描写される(不透過性の亢進)ことが診断の指標となる。

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