【医療法・RI規制法】近年の法改正まとめ:線量管理とセキュリティの強化

第1回:医療法の改正(令和2年施行)―被ばく線量の管理と記録

医療現場における放射線診療の高度化に伴い、患者の「医療被ばく」をより適切に管理するため、2020年(令和2年)4月1日より医療法施行規則の一部を改正する省令が施行された。この改正は、診療放射線技師の日常業務に直結する極めて重要な内容である。

1-1. 管理者が確保すべき安全管理体制(第1条の11)

病院等の管理者は、診療用放射線の安全利用を確保するために、以下の3つの体制を整えることが義務付けられた。

  1. 診療用放射線の安全利用のための指針の策定
  2. 放射線診療に従事する者に対する研修の実施
  3. 放射線診療を受ける者の被ばく線量の管理および記録

【国試の要点:技師の役割】 国家試験では、これらが「管理者の義務」であることを踏まえた上で、実務として「線量管理・記録」を誰が主導するか(主に診療放射線技師)が問われる。特に「指針の策定」や「定期的な研修」は、安全管理の基盤として必須事項である。

1-2. 線量管理・記録の対象となる機器(4つのカテゴリー)

すべての放射線機器が対象ではなく、特に被ばく線量が高くなりやすい以下の4つの区分が指定されている。これらは「4点セット」として暗記必須である。

  • CTエックス線装置
  • 血管造影検査に用いる透視用エックス線装置(インターベンション等)
  • 診療用放射性同位元素(RI)
  • 陽電子断層撮影診療用放射性同位元素(PET)

1-3. 線量管理・記録の具体的ルール

単に記録するだけでなく、その「質」と「見直し」が求められている。

  • ガイドラインの参照:関連学会等が策定したガイドラインを参考に、被ばく線量の評価および線量の適正化(最適化)を図らなければならない。
  • 適正な様式での記録:患者の被ばく線量を適正に検証できる様式(DRL:診断用参考レベルの活用など)を用いて記録を行う。
  • 定期的な見直し:以下のようなタイミングで、線量管理の方法を必要に応じて見直さなければならない。
    • 関連学会のガイドラインに変更があったとき
    • 放射線診療機器を新規導入・更新したとき

【国試の要点:対象外の機器】 試験のひっかけとして、対象機器に「一般撮影装置」や「歯科用エックス線装置」が混ざることがある。令和2年の改正で特に厳格な管理が求められたのは、上記に挙げた**「CT、血管撮影、RI、PET」**の4種である。

第2回:RI規制法の誕生とセキュリティの強化(平成29年〜令和元年施行)

かつて「障防法」と呼ばれていた法律は、国際的なセキュリティ基準(核セキュリティ)への対応を背景に、「RI規制法」へと生まれ変わった。国家試験では、名称変更の背景と、新しく追加された「セキュリティ対策」の具体例が問われる。

2-1. 名称変更:障防法から「RI規制法」へ

平成29年(2017年)の法改正により、法律の正式名称が以下のように変更された。

  • 旧名称:放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(障防法
  • 新名称:放射性同位元素等の規制に関する法律(RI規制法

【国試の要点:なぜ名前が変わった?】 従来の「障防法」は、その名の通り「放射線障害を防止すること」が主眼であった。しかし、国際原子力機関(IAEA)からの勧告を受け、放射性物質がテロリストなどに盗まれないよう、より厳重に**「規制(コントロール)」**し、核セキュリティを強化する必要が生じたため、この名称に変更されたのである。

2-2. 2段階の施行スケジュール

この改正は、現場の混乱を避けるために2つのステップを踏んで施行された。

  1. 第1段階(平成30年4月1日施行)
    • 報告義務の強化、教育訓練の充実、危険時の措置の強化など。
  2. 第2段階(平成31年9月施行)
    • セキュリティ対策(防護措置)の義務化

2-3. 特定放射性同位元素(ハイリスク線源)の管理

セキュリティ対策において特に重点を置かれているのが、盗難や紛失の際に社会的影響が極めて大きい「特定放射性同位元素」である。診療放射線技師は、どのような装置にこれらの「線源」が使われているかを正確に把握しておかなければならない。

特定放射性同位元素の使用例(暗記必須):

  • 遠隔治療装置用線源(テレコバルト等)
  • ガンマナイフ用線源
  • 血液照射装置用線源
  • RALS(ラルス)用線源(高線量率小線源治療)

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