自動露出制御機構(AEC)

自動露出機構(AEC:Automatic Exposure Control)

■ 概要

自動露出制御機構(AEC)は、
被写体を透過したX線量を検出し、あらかじめ設定された濃度になるように照射条件を自動的に調整する装置である。

目的は「画像濃度の安定化」。

■ 制御される項目

装置の種類によって制御対象が異なる。

・一般撮影
→ 照射時間を制御する

・透視
→ 管電流または管電圧を制御する

・X線CT
→ 管電流を制御する

■ X線量の検出方式

① フォトタイマ方式

蛍光体でX線を光に変換し、その光量を光電流として検出する。

撮影時間を制御する方式。

→ 誤作動時に備え、バックアップタイマが必要。

② イオンタイマ方式

電離箱内で発生する電離電流を測定する方式。

安定性が高い。

③ 半導体タイマ方式

半導体検出器により発生する電流を検出する方式。

応答が速く、小型化が可能。

④ I.I.(イメージインテンシファイア)方式

X線TVカメラの映像信号のレベルにより制御する方式。

※CT装置では、スカウト画像などの情報から照射条件を決定する。

■ バックアップタイマ

AECが正常に動作しない場合に備えた安全機構。

設定された最大負荷時間に到達すると、強制的に照射を終了させる。

■ 検出部の位置による違い

検出位置によって、管電圧変化が写真濃度に及ぼす影響が逆転する。

① 前面検出方式

被写体 → [検出器] → 受像系

フィルムやカセッテに到達する前のX線を測定する方式。

検出器自身の吸収や厚みの影響を受ける。

管電圧が低下すると
→ 検出器(AEC)でX線が吸収やすくなる
→ 受像機(CRやFPD)への到達線量が減少

「管電圧が低いほど写真濃度は低下」

② 後面検出方式(乳房撮影で使用)

被写体 → 受像系 → [検出器]

カセッテや検出器の自己吸収の影響を受ける方式。

管電圧が低下すると
→ 軟線成分が増加
→ 受像系(CRやFPD)での吸収が増える
→ 検出器(AEC)にX線が届きにくくなりAECが照射時間を延長する
→ 結果として写真濃度は上昇しやすい

「管電圧が低いほど写真濃度は上昇」

AECの重要な特性

自動露出制御機構(AEC)には、画像濃度に影響を与えるいくつかの特性がある。

① 被写体厚特性

被写体が厚くなると、

・透過X線量が減少し、検出器(AEC)にX線が届きにくくなる
・暗電流により検出器(AEC)が必要線量に届く前に基準線量に達したと判断し
 照射を止めてしまう。

その結果、
写真濃度は低くなる。

② 管電圧特性

AECの挙動は検出方式に依存する。

管電圧が低下すると、

・X線の線質が軟化
・検出器の線質依存性が影響

特に蛍光体を用いる検出器では、
線質依存性により写真濃度に影響が出る。

一般に、低管電圧ほど濃度変動の影響を受けやすい。

③ 散乱線特性

散乱線が多い場合、
検出器が受け取る信号が変化し、
AECの制御に影響する。

一般に散乱線が増える
→ 濃度が低下しやすい。

④ 応答時間特性

応答時間とは、
X線停止信号が出てから実際に照射が停止するまでの時間。

応答時間は
・最短応答時間(信号を出せる最短時間)
・応答遅れ時間(機械的・電気的遅れ)

によって決まる。

応答時間は一定であるため、

撮影時間が短いほど
→ 過剰照射の割合が大きくなり
→ 写真濃度は上昇しやすい。

特に薄い被写体で影響が大きく写真濃度が上がってしまう。

※現在はサイリスタなど高速スイッチが用いられ、
影響は小さくなっている。

⑤ 被覆特性

採光野内に高吸収体(造影剤・骨・厚い部位など)が占める割合が大きいと、
検出器に到達する線量率が著しく低下する。

その結果、
AECが過度に照射時間を延長し、
適正な濃度が得られない場合がある。

AECにおける採光野とセンサ特性

■ 採光野とは

採光野とは、

AECのX線検出部が実際に測定している領域のこと。

撮影部位やセンサ配置によって決まる。

■ 採光野の影響

検出器の採光野の

・位置
・面積
・形状

は、最終的なフィルム濃度に大きく影響する。

採光野が高吸収部にかかると
→ 検出線量が低下
→ 照射時間が延長
→ 過露出の原因となる。

逆に、

採光野が透過しやすい部位にあると
→ 検出線量が多い
→ 照射時間が短縮
→ 露出不足となる可能性がある。

■ センサの大きさ

被写体透過後のX線を検出するセンサの面積も重要である。

センサが小さい
→ 局所的な線量変化に影響されやすい
→ 濃度変動が起こりやすい

センサが大きい
→ 平均化効果が働く
→ 濃度は安定しやすい

つまり、センサの大きさは写真濃度の安定性に関与する。

■ 公称最短撮影時間

公称最短撮影時間とは、
AECが濃度を均一に制御できる最短の撮影時間である。

これより短い時間では、
応答遅れの影響により
濃度が不安定になる可能性がある

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