第1章:基本となる入射方向(AP・PA・側方向)
エックス線撮影において、X線が「体のどこから入って、どこへ抜けていくか」を正確に表現することは、画像を描出する上で最も基本となる。英語の頭文字や、動物(獣医領域など)でも使われる腹背・背腹といった表現が混在するため、確実にリンクさせておく必要がある。
1-1. 前後方向と後前方向(正面撮影)
- 前後方向(AP方向)= 腹背方向(VD方向)
- Antero-Posteriorの略。X線が体の「前(腹側)」から入って、「後ろ(背中側)」へ抜ける方向。
- 仰向け(背臥位)で寝た状態での撮影は、原則としてこのAP方向となる。
- 後前方向(PA方向)= 背腹方向(DV方向)
- Postero-Anteriorの略。X線が体の「後ろ(背中側)」から入って、「前(腹側)」へ抜ける方向。
- 胸部X線撮影(立位)の基本は、心臓の拡大を防ぐためにこのPA方向で行われる。
1-2. 側方向(側面撮影)
- LR方向
- X線が体の「左(Left)」から入って、「右(Right)」へ抜ける方向。右側面が検出器に密着する。
- RL方向
- X線が体の「右(Right)」から入って、「左(Left)」へ抜ける方向。左側面が検出器に密着する。胸部側面撮影では、心臓の拡大を防ぐために原則としてこのRL方向(左側が下)が選択される。
第2章:斜位方向(第1〜第4斜位の完全攻略)
単純な正面や側面では骨や臓器が重なって見えない場合、体を斜めにして撮影する「斜位(Oblique)」が用いられる。国家試験で受験生を最も悩ませるのが、この斜位の名称である。
2-1. R/L・A/P・Oの法則
アルファベット3文字の表記は、「検出器(フィルム)に接している面」を表している。ここを勘違いするとすべてのポジショニングが逆になってしまうので注意が必要だ。
- R (Right):右側 / L (Left):左側
- A (Anterior):前側 / P (Posterior):後側
- O (Oblique):斜位
- 例:RAO(右前斜位)= 体の「右」の「前」側が検出器にペタッとくっついている(うつ伏せで体を斜めにした状態)。
2-2. 第1〜第4斜位の対応表(暗記必須)
日本の臨床現場や胃の造影検査などでよく使われる「第〇斜位」という伝統的な呼び方と、アルファベット表記の組み合わせは以下の通り。これは理屈抜きで1セットとして暗記する。
- 第一斜位方向 = 右前斜位(RAO)
- 第二斜位方向 = 左前斜位(LAO)
- 第三斜位方向 = 左後斜位(LPO)
- 第四斜位方向 = 右後斜位(RPO)
【国試の要点:斜位の覚え方とロジック】 まず、「前(A)」がつくRAO・LAOが「第1・第2」であり、「後(P)」がつくLPO・RPOが「第3・第4」であるとグループ分けしよう。 特に胃のバリウム検査(上部消化管造影)では、この斜位の使い分けが頻出する。例えば「胃角部を二重造影で広く描出する」には、バリウムを胃底部に溜めつつ胃角を正面に向ける必要があるため、**第一斜位(RAO)**から仰向けになる動きが重要になる、といった具合に「なぜその斜位にするのか」という次のステップに繋がっていく。

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