断層撮影装置
1.線軌道断層装置(直線断層・単純断層)
X線管と受像系を直線または単一円弧軌道で移動させる断層撮影法。
主に胸部撮影に用いられる。
・撮影時間は比較的短い
・装置構造が比較的単純
・断面外構造が一方向に引き伸ばされる
→ 障害陰影が比較的残りやすい
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2.多軌道断層装置
X線管が複雑な軌道を描く断層撮影法。
軌道の種類:
直線・円・楕円・ハイポサイクロイド・渦巻き(スパイラル)など
主に
骨部・聴器・縦隔などの詳細観察に用いられる。
・撮影時間は長い
・断面外構造が多方向に引き伸ばされる
・障害陰影が少ない
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■ 障害陰影とは
断層面以外の構造物が
完全に消えず、ぼやけた像として残る現象。
基本的には
・断面の視認性を低下させる
・コントラストを低下させる
ため、少ない方が望ましい。
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■ なぜ多軌道では障害陰影が少ないのか
直線断層では
ボケが一方向にしか広がらないため
断面外構造が線状に残りやすい。
多軌道断層では
X線管が複雑な軌道を描くことで
断面外構造が多方向に引き伸ばされ
エネルギーが分散されるため
像として目立ちにくくなる。
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■ では、障害陰影は「悪」なのか?
実は完全に不要というわけではない。
障害陰影があることで
・断面位置の奥行き感が生まれる
・断層面と非断層面の区別が視覚的に分かる
・機械的断層撮影であることを保証する
という側面もある。
つまり
障害陰影は「断層である証拠」でもある。
ただし、診断能を上げるためには
できるだけ目立たない方が良い。
そのため多軌道断層が開発された。
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3.同時多層断層撮影
1回の撮影で複数枚の断層像を得る方法。
多層断層用増感紙の各層の感度が異なる
多層カセッテ(感度補償した数組の増感紙)を使用する。
1回の照射で複数層の断面を同時取得できる。
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4.トモシンセシス
FPDを用いて
1回の多方向撮影から
複数枚の断層像を再構成する方法。
画像演算方法:
・シフト加算法
・バックプロジェクション法
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■ トモシンセシスの特徴
・空間分解能はCTより高い(特に平面内)
・被ばく線量はCTより低い
・撮影時間はCTより長い
・奥行き方向の分解能はCTより劣る
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■ トモシンセシスと障害陰影
トモシンセシスは
機械的なボケではなく
コンピュータ演算によって断層像を作成する。
そのため
・単純断層より障害陰影は少ない
・CTほど完全な断面分離はできない
という中間的特性を持つ。
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■ CTとの違い
CTは
全周方向からのデータを取得し
数学的再構成により完全な断面像を得る。
・障害陰影はほぼ存在しない
・奥行き方向の分解能も高い
・被ばく線量は比較的高い
トモシンセシスは
・投影角度が限定的
・簡易的断層
・低線量で実施可能
という位置づけである。
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■ トモシンセシスの主な用途
・乳房撮影(マンモトモシンセシス)
・胸部(肺結節の重なり除去)
・整形外科(骨折線の描出)
重なりを減らしつつ
CTより低線量で評価できる点が利点。

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