X線TV装置(イメージインテンシファイア方式)
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■ 概要
本装置は、
イメージインテンシファイア(I.I.)を用いて
人体透過X線を可視光像へ変換し、
それをテレビカメラで電気信号に変換して
リアルタイム表示する方式のX線TV装置である。
※フラットパネル検出器(FPD)方式とは構造が異なる。
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■ 特徴
I.I.方式では、
X線 → 可視光 → 電気信号
という二段階変換を行う。
FPD方式は直接または間接変換で
X線 → 電気信号へ変換するため原理が異なる。
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■ I.I.方式の位置づけ
従来型のX線TV装置で広く用いられてきた方式。
現在はFPD方式が主流になりつつあるが、
国家試験ではI.I.方式の出題もある。
■ 基本構成
信号の流れで覚える。
X線
→ 光
→ 電気信号
→ 映像信号
→ 画像表示
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① イメージインテンシファイア(I.I.)
人体透過後のX線を入力し、
明るい可視像に変換する装置。
暗いX線像を大幅に増幅して明視可能にする。
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② タンデムレンズ
I.I.の出力像を
TVカメラへ効率よく伝達する光学系。
像の歪みや光量損失を抑えながら
忠実に入力する役割を持つ。
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③ 撮像管・固体撮像素子(CCD)
I.I.から出た可視光像を
電気信号へ変換する。
現在はCCDなどの固体撮像素子が主流。
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④ 映像回路
撮像素子から得た電気信号を処理し、
走査用の映像信号を生成する。
電子ビーム走査の制御を行う。
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⑤ TVモニタ
映像信号により電子ビームを走査し、
動画像として表示する。
リアルタイム観察が可能。
イメージインテンシファイア(I.I.)の構造
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■ 概要
イメージインテンシファイア(I.I.)は、
透過X線を可視光像へ変換し、電子増幅によって明るい像として出力する装置である。
入力視野を電圧切替で縮小すると、出力像は拡大表示される(電子拡大)。
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■ 内部構造
I.I.内部は高真空に保たれている。
電子を効率よく加速・集束させるためである。
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① 入力窓
材料:
・硼珪酸ガラス
・アルミニウム
・チタニウム
X線を透過させつつ、内部真空を維持する役割をもつ。
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② 入力蛍光面
CsI : Na
(ヨウ化セシウム:ナトリウム活性型蛍光体)
特徴:
・微細柱状結晶構造
・厚さ:約400 μm
柱状構造により横方向への光散乱を抑制し、
空間分解能を維持しながら高感度を実現する。
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③ 光電面
入力蛍光面で発生した光を電子へ変換する。
(光電効果)
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④ 集束電極(フォーカス電極)
電子を収束させる電極。
問題では
「集束電極」「フォーカス電極」と表記が変わることがある。
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⑤ 陽極(加速電極)
電子を加速する電極。
問題では
「陽極」「加速電極」と呼び方が変わる。
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⑥ 出力蛍光面
ZnS系(Zn, Cd)S : Ag
(硫化亜鉛・硫化カドミウム:銀活性型蛍光体)
加速電子が衝突し、明るい可視光像を生成する。
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■ 蛍光面の厚さと特性
蛍光面が厚いと:
・X線吸収効率向上
・光量増加
→ 感度向上
しかし、
・光拡散増加
→ 空間分解能低下
感度と分解能はトレードオフ関係にある。
イメージインテンシファイア(I.I.)の基本動作
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■ 基本動作
① 透過X線が入力蛍光面に入射
② 入力蛍光面で蛍光像を形成
③ 隣接する光電面から、蛍光像強度に比例した光電子が放出される
④ 集束電極(フォーカス電極)および陽極(加速電極)により、約25~30 kVで電子を加速・集束
⑤ 電子が出力蛍光面に衝突
⑥ 明るい可視光像を形成
つまり、
X線像をリアルタイムに可視光像へ変換・増幅する装置である。
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■ 出力輝度の関係
出力蛍光面の輝度は、
陽極電圧に比例し、
像の拡大率の二乗に反比例する。
出力輝度 ∝ 陽極電圧 ÷(拡大率)²
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■ 入力視野と輝度の関係
I.I.では入力視野を切り替えることができる。
入力視野は、
集束電極(フォーカス電極)への印加電圧によって制御される。
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● 入力視野が大きい場合
・縮小率が大きい
(入力像が大きく、出力像は一定)
→ 輝度が高い
ただし、
・空間分解能は低下する
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● 入力視野が小さい場合(電子拡大)
・縮小率が小さい
→ 出力輝度は低下する
同じ輝度を得るためには
X線量を増やす必要がある。
→ 患者被曝は増加する。
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■ 重要ポイント整理
・出力輝度 ∝ 陽極電圧 ÷(拡大率)²
・視野が小さいほど暗くなる
・電子拡大では被曝が増える
・入力視野の変更でコントラストは基本的に変化しない
イメージインテンシファイア(I.I.)の性能指標
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🔵 A:明るさ系(光の強さを評価)
① 変換係数 Gx
Gx = 出力像中心輝度[cd/m²]
÷ 入射面中心の空気カーマ率[μGy/s]
I.I.の感度を示す指標。
値が大きいほど高感度(明るい)。
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② 輝度分布
中心部に対する周辺部の輝度比で評価する。
一般に 60~90%。
周辺部は暗くなりやすい。
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🟢 B:画質系(見え方を評価)
③ コントラスト比 Cr
Cr = 鉛円板なしの中心輝度
÷ 鉛円板ありの中心輝度
散乱線や内部反射の影響を評価。
値が大きいほどコントラスト良好。
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④ 解像度
X線解像力チャートで識別できる限界本数
[Lp/cm]で表す。
中心部で高く、周辺部で低下する。
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⑤ 空間分解能
細部識別能力を示す指標。
入力視野が小さいほど向上する。
中心部が高く、周辺部が低い。
※解像度とほぼ同義だが、概念的整理で分けられる。
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🟡 C:物理効率・幾何特性
⑥ DQE(量子検出効率)
DQE = 出力像のS/N²
÷ 入射X線のS/N²
入射情報をどれだけ効率よく保持できるかを示す。
値が高いほど効率良好。
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⑦ 画像歪み
中心部と周辺部で拡大率が異なる現象。
入射面視野が大きいほど増加。
一般に 5~10%程度。
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⑧ 入射面視野寸法
I.I.が受け入れる入力視野の大きさ。
電子拡大の基準となる。
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■ 最終整理
🔵 明るさ
→ Gx(変換係数)・輝度分布
🟢 見え方
→ コントラスト比・解像度・空間分解能
🟡 効率と幾何
→ DQE(量子検出効率)・歪み・視野寸法
CCDと撮像管の比較
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① 空間分解能
CCD:高い
撮像管:低い
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② ダイナミックレンジ
CCD:広い
撮像管:狭い
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③ 残像・焼き付き
CCD:少ない
撮像管:あり
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④ 機械的強度
CCD:強い
撮像管:弱い(ガラス製)
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⑤ 磁界の影響・歪み
CCD:ほとんどなし
撮像管:あり
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⑥ 消費電力
CCD:少ない
撮像管:多い
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⑦ 経年変化
CCD:ほぼ安定(半永久的)
撮像管:劣化あり
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⑧ 出画時間
CCD:速い
撮像管:遅い
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■ 国家試験的まとめ
CCDは
✔ 高分解能
✔ 広ダイナミックレンジ
✔ 低消費電力
✔ 磁界の影響なし
撮像管は
✔ 焼き付きあり
✔ 劣化あり
✔ 磁界影響あり
→ ほぼ全項目でCCDが優れる。

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