第1章:ネットワークの基礎と通信プロトコル
現在の放射線科において、PACSなどのシステムはすべてネットワークで繋がっています。国家試験でも、インフラ(通信基盤)に関する基礎知識が必ず問われます。
アルファベットの羅列が多くて苦手意識を持つ受験生も多いですが、「何の略なのか(英単語の意味)」を知るだけで、丸暗記から解放されます。
1-1. ネットワークの規模と種類
まずは、ネットワークの「広さ」を表す用語です。LとWの違いを確実に押さえましょう。
- ネットワーク コンピュータ同士を相互接続した通信網のことです。インターネットのドメイン名やIPアドレスなどの管理は、世界的にはICANN(アイキャン)、日本ではJPNIC(ジェーピーニック)という組織が行っていることも試験で問われます。
- LAN(ラン) Local(局所的な)Area Networkの略です。同一の建物内(病院内など)や敷地内に限定された、比較的狭い範囲のネットワークを指します。「ローカルな繋がり」とイメージしてください。
- WAN(ワン) Wide(広い)Area Networkの略です。遠隔地にあるLAN同士を公衆回線網などで接続する「広域通信網」です。本院と分院を繋ぐネットワークなどがこれに該当します。
- ADSL(エーディーエスエル) 従来の電話線を利用して、高速なデータ通信を行う技術です。国家試験では「上り(送信)よりも下り(受信)の方が通信速度が速くなる」という特徴がよく出題されます。
1-2. 通信のルールと識別番号
通信を行うための「世界共通の約束事」をプロトコルと呼びます。
- TCP/IP(ティーシーピー・アイピー) 現在のインターネットやLANで標準的に使われている「通信プロトコル(通信規約)」です。ネットワークの世界における「共通言語」のようなものだと覚えてください。
- 通信速度の単位:bps(ビーピーエス) bits per secondの略です。「per second(1秒あたり)」の通り、1秒間に何ビットのデータを転送できるか(通信の速さ)を表します。
- MACアドレス(マックアドレス) ネットワーク機器(パソコンやルーターなど)の1つ1つに製造段階で割り当てられている、世界で唯一の「物理アドレス」です。機器固有の「絶対に書き換えられない指紋やマイナンバー」のようなものだとイメージしてください。(※IPアドレスは後から変更できますが、MACアドレスは変更できません)
第2章:電子メールとセキュリティ技術
国家試験で頻繁に「入れ替え問題」として狙われるのが、電子メールのプロトコルと暗号化技術です。それぞれの役割を対比させて、確実に得点源にしましょう。
2-1. 電子メールのプロトコル(送信と受信)
メールを送る時と受け取る時で、使われるプロトコル(ルール)が異なります。ここは以下の覚え方で一撃で仕留められます。
- SMTP(エスエムティーピー) Simple Mail Transfer Protocolの略です。電子メールを「送信」するためのプロトコルであり、送信時のユーザー認証法としても機能します。【最強の覚え方】 SMTPの「S」は、Send(送信する)の「S」と直感的に覚えましょう!
- POP(ポップ) Post Office Protocolの略です。サーバーに届いたメールを、自分のパソコンやスマホ(クライアント)に「受信(ダウンロード)」するためのプロトコルです。【最強の覚え方】 POPの「P」は、Post office(郵便局)の「P」です。郵便局(サーバー)に自分宛ての手紙を取りに行くイメージを持ってください。
2-2. ネットワークを守るセキュリティ技術
患者の個人情報や画像データを外部の脅威から守るための仕組みです。アルファベットの略語に惑わされず、それぞれの「目的」を理解することが重要です。
- VPN(仮想プライベートネットワーク) Virtual(仮想の)Private(私的な)Networkの略です。インターネットという誰でも通れる公衆の道の中に、暗号化技術を用いて自分専用の「仮想的なトンネル」を作り、安全にデータをやり取りする仕組みです。
- SSL(エスエスエル) Secure Sockets Layerの略です。インターネット上でやり取りする情報を「暗号化」して送信するプロトコルです。普段使っているWebサイトのURLが「https://」となっている場合、この「s(セキュア)」はSSLによって通信が保護されていることを意味します。
- ファイアウォール 直訳すると「防火壁」です。外部のネットワーク(インターネット)から、内部のネットワーク(病院内LANなど)へ侵入しようとする不正なアクセスや、通過させてはいけない通信を「阻止(ブロック)」するシステムです。
第3章:データの安全性と可用性を高める「RAID」と関連用語
放射線科で扱う画像データは非常に容量が大きく、かつ「消えてはいけない」大切なものです。そのため、データの保存には単なるハードディスク以上の工夫が凝らされています。
3-1. RAID(レイド)の仕組みと目的
PACS(画像サーバー)などで必ずと言っていいほど使われている技術です。
- RAID(レイド) Redundant(予備の・冗長な) Arrays(配列) of Inexpensive Disks の略です。 2台以上の複数のハードディスク(HDD)を組み合わせて、パソコン側からは仮想的に「1つの大きなドライブ」として認識させる技術を指します。
【なぜRAIDにするのか?】 主な目的は以下の2つです。
- 信頼性の向上(バックアップ):同じデータを複数のディスクに書き込むことで、1台のHDDが壊れてもデータが消えないようにします。
- 高速化:複数のディスクに分散して読み書きを行うことで、データのやり取りをスピードアップさせます。
3-2. 関連するネットワーク用語
画像に含まれていた、その他の重要用語についても整理しておきましょう。
- テレラジオロジー(遠隔画像診断) Tele(遠くの)Radiology(放射線医学)の略です。 ネットワークを通じて、遠隔地にいる放射線科医に画像データを送り、診断(読影)してもらう仕組みです。専門医がいない病院でも質の高い診断を受けることが可能になります。

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